二胡と胡弓とはまったく別の楽器。二胡とその仲間たち
日本では二胡(にこ)の音楽CDなのに「胡弓」(こきゅう)とタイトルに書かれることが時々あります。それで同じ楽器だと思ってはいけない。
実は全く違う楽器です。見た目も演奏方法も。
一緒でも違ってもいいじゃんと言われそうですが、二胡弾きとしては一度はツッコミいれておきたいトピックなんですよ。
胡弓にくわしくないので違いを詳細には述べられるわけでもないんですけどね。
といってもまず「二胡」って?という読者のために簡単にご紹介します。
二胡とは
二胡は中国の民族楽器で、弦が2本であるため二胡(アル・フー)と呼ばれています。原型となる楽器は、6世紀頃の唐代にまで遡れるそうです。
その頃は演奏するときに楽器を横に寝かせた状態で棒を用いて弦を擦って音を出していたそうです。
今は立てて膝において演奏しているのでちょっと想像がつきません。
近代になって、西洋音楽が中国に大量に入り、中国の伝統文化と融合させた新しい音楽や奏法が、つぎつぎと開発されていき、それまで伴奏が主体だった二胡が独立した楽器としても使われるようになっていきました。
今では二胡が主役のコンサートを日本でも楽しめます。
▲こちらは私のお気に入りの黒檀二胡。
こうした歴史の流れの中で、演奏技法の高度化や西洋楽器の影響で楽器自体も改良が重ねられていきました。
弦は現在、当たり前のようにスチール弦ですが、かつては絹弦が使われていたそうです。
スチール製の方が音量が出るので屋外の演奏も可能にし、また音程、音色が安定するようになりました。
鉄と絹では全く違う音が出そうですね。どんな音色がしたのか気になるところです。
でも民族楽器って音程安定してないほうがそれっぽいですよね。味がありそう。
二胡の種類
冒頭で述べたように、日本では二胡が「胡弓」という名称で呼ばれることがありますが、「二胡」と胡弓はまったく別の楽器です。
はっきり見た目からして全然異なる楽器なのですが、なぜかプロが出してるCDタイトルでさえ「胡弓」が使われ、でも演奏は二胡という・・・どうしてでしょうね。
▼これが二胡
▼そしてこちらが胡弓。
全然違いますよね(笑)
まぁ胡弓の方が日本人の耳に馴染みが良いのかな。
二胡の仲間たち
中国では二胡のことを胡琴(フー・チン)と呼び、形状や材料などの違いからいくつか種類があり、形や材質、音質が異なり、演奏方法も異なるものもあります。
京胡(ジン・フー)
京劇の演奏などによく使用されます。棹と胴体はすべて竹で作られており、二胡と比べるとかなり軽量です。
高胡(ガオ・フー)
構造は二胡とほとんど同じですが、音域が二胡より5度ほど高く、広東音楽の独奏や合奏に使用されます。
二胡(アル・フー)
おなじみの二胡。
中胡(ジョン・フー)
構造は二胡とほとんど同じですが、低音が味わい深い豊かな音がでます。
低胡(二泉胡)
二泉胡とは、「二泉映月」という曲を演奏するための胡琴です。1曲のためだけに専用の楽器があるってびっくりですよね。
二胡より4~5度音程が低く哀愁ある音色がでます。
板胡(ヴァン・フー)
楽器の胴体の共鳴部分が蛇皮でなく柾目の針葉樹の板となっているため板胡と呼ばれます。音色が明るく独特なので独奏楽器として使用されます。
馬頭琴
モンゴルの民族楽器です。構造も演奏方法も二胡とはかなり異なります。
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こんなに種類あるんですね。
日本の胡弓はどういう位置づけなんでしょうね。親戚くらいにはなっているんでしょうかね。また機会があったら調べてみたいと思います。
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