天の采配。ここぞという時はかならず助けが入る不思議-トルコ家族編③
続きです。
旅をしてから2年後の1999年10月。
トルコ北西部でマグニチュード7.6の大地震が発生。1万7000人あまりが亡くなり、60万人近くが家を失くしました。
日本からは国際緊急援助隊救助チームが派遣され、日本でも大きく報道されました。
ニュースで流れてくる最新情報。
「震源地に近いイズミットからヤロワにかけて甚大な被害が発生」
耳を疑いました。
『ヤロワ』
あの場所。お世話になったトルコ人一家が住んでいた町。
日本の救助チームが割り当てられた地域も『ヤロワ』でした。
断層の真上で被害が大きかった。写しだされた現地の映像にはよく似たマンモスアパート群が。
何棟も無残に全壊。半壊の建物も多数。生存者がどのくらいいるのかわからない状態でした。
似たようなアパートがいっぱいあるし、映像の地域があの場所とは限らないし!
そう信じてすぐ国際電話をかけました。無事を確認したかった。
でも電話線が切れているのか、混乱中だからか、時をおいて何度かけても繋がりませんでした。
結局安否は確認できず連絡は途絶えました。
とても切なく悲しかった。くやしかった。
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地震から3年。
私は派遣である外航船のタンカーを扱う会社で働くことになりました。昔正社員で勤めていた石油会社の子会社。正社員時代の上司が当時その子会社で常務をされており、不思議なご縁で、人材を捜している時に私が派遣をしていることを知り、声をかけてきました。
ちょうど都合良くその前の派遣期間が終わったので、そちらへ勤めることに。
タンカーの船長と連絡をとり港までの航路予約をしたり、海上保安部や入国管理局への申請などを行う事務。現場(船)は男性社員が行って、私は事務所。でもたまに安全靴履いてヘルメットかぶってタンカーに訪船できることもありました。
ある時、トルコ船籍の船がやってくることに。しかも船長トルコ人。
上長にぜひとも船へ行きたいと嘆願(おねだり?)すると、なんと船長が船上で一緒に食事をと誘ってくれました。
上長に連れられて船へ。
その食事の席で、トルコへ旅したことがあること、お世話になったトルコ人一家と地震後に連絡がとれず安否がわからないことなどを話しました。
すると、その船長がこう言われました。
「その家族全員の名前、当時の連絡先、住所のメモをください。安否を確認できるかもしれません。」
驚いて詳しく伺うと、地震後、安否確認のために国内の被災者を検索するシステムが作られており、帰国すれば調べられるとのこと。
ただ何ヶ月も航海を続ける外航船タンカーなので、帰国できるのは何ヶ月も後だが、今度帰国した際に調べてあげると。
あれからさらに何年も経ってる。もうきっと亡くなってしまったのだろうとあきらめてた。でもずっと心残りだった。
驚きつつ、難しいだろうなと思いつつ、せっかくの申し出だし、その結果悲報を聞くことになるかもしれないけど、不明なままよりいい。可能性はゼロではないと思い好意に甘えてみようかと。
翌日、船の出航前に再び訪船して家族の情報と私の連絡先を書いたメモを船長に託しました。
この天の采配としか言いようのない機会に一縷の望みをかけて。
それから半年後。
一通のメールが届きました。船長からではありませんでした。
送り主は、なんとあの家族の弟くん。(最初に出会った時に声かけてきた男の子)
びっくりしました。
「ひさしぶり!探してくれてたんだね!」と。
「あの地震で連絡先のメモも以前の手紙も失くして連絡できなかった。突然あなたから安否確認を依頼されたという人から連絡が来たんだ!!」と。
船長は約束を果たしてくれていました。彼らの生存を確認し、連絡をとって私の連絡先を彼らに伝えてくれていた。
そして、奇跡的にも彼らは全員無事でした。家はだめだったけど、親類の家に身を寄せてなんとかしのいだとのこと。当時6ヶ月だった赤ちゃんももう6歳。元気に育っているとのこと。
飛び上がるほど嬉しかった。全員元気でいてくれた。神様ありがとう。
天と船長と、その機会を作ってくれた会社と環境全てに感謝でいっぱいになりました。こんなことってあるんだなって。
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ここからは信じられない方は遠慮なく読み飛ばして下さいね。トルコ体験談はおしまいです。
こういうことがあるからこの世界は不思議でおもしろいなと。
振り返ってみるととこういう助けはけっこう他にもあげたらきりがない。
偶然だ、不運だ、幸運だと片付けられてしまっているだけで実は知らずに受けているサポートがたくさんあると思う。
ちなみに天は地上の人間がサポーターの存在を認識してくれてるほうがサポートはしやすくなるのだそう。
助けの手を伸ばしても、気づかず、もしくは振り払われるより、喜んで手をとってくれる相手のが助けやすいでしょ。
それと同じ原理なんだと思います。
直感やインスピレーション、不思議に目につく何かのサイン。本屋で突然目の前に落ちてくる本。なぜか目に留まる文字。シンクロニシティ。
いろいろな方法で合図や知恵や必要な情報やヒントや注意喚起などを送ってくる。
「逃げて」って聞こえた気がしてよけたら物が飛んできて危なかったとか。
様々だけどこれだけは言える。
私たちは一人で生きてるんじゃない。見えない存在や天がサポートしてくれてる。でもそれを受け取るかどうかは本人しだい。
だから私は小さなことも感謝して生きようと思う。
なんとなく感じたことも、なんでそう感じたんだろうとかちゃんと自分と向き合いたい。気のせいで片付けたくない。小さなことにも全部きっと意味がある。
アクシデントも、辛いこと楽しいことも、全部意味がある。そっから学べることや受け取れることがあるから天が用意してくれてるんだろうと。
どんな瞬間も出会いも出来事も大切にしたい。
最後まで読んでくれてありがとう。
皆様が幸せでありますように。
投稿者プロフィール
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・ヒーリング整体や二胡演奏、アートを通して心と身体の健康を応援します。
・高齢者施設等へのボランティアの訪問演奏承っております。
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