死は終わりではない/エリック・メドフス著〜青年エリック君の死後の世界からのメッセージ
ーやあ、ぼくはエリック。そうさ、死んだ人間だよー
人は死ぬとどんな旅路をたどるのか、その後は? そして視界の開けたスピリットの目で振り返った人生はどう見えるのか。興味深い内容がたっぷり詰まった一冊です。しかもユーモアたっぷりで面白い。
「死」と「その後」について知ることは、「いかに生きるか」を考え「生きること」のヒントを与えてくれます。
この本の著者は既にこの世にはいない、20才の誕生日を迎えた直後に銃で自殺してしまった若き青年エリックくん。でも彼は死んで「無」になどなっていません。今ではスピリチュアルガイドとして積極的に地上に関わり私達を助けてくれる生気あふれる頼もしいスピリットです。
世にはいろんな霊界通信・チャネリング本が出版されているけれど、エリックくんは異色なくらい、まったく気取らずいかにもティーン・エイジャーの口調で通信してきます。とにかくよくしゃべって、いたずら好き。時に汚い言葉や乱暴な言葉もつかって霊媒をどぎまぎさせる。そして死んでも人生は終わらないってことを信じずにはいられなくしてくれる。そんな本です。
書名:死は終わりではない
著者:エリック・メドフス
出版社:きこ書房
初版:2017/12/13
頁数:325P
生前の回送と自殺、そして移行
この本はエリック君の回想録です。そして彼のお母さんエリーサ・メドフスの本でもある。無神論者の両親に育てられ懐疑的だった彼女が息子の通信を通して癒やされ立ち直り、そして死後の世界を信じるに至る苦難の旅の記録。
エリックくんが生前どう生きてきたか、どんな子供だったか。何を思い何に苦しんだのか。そして自殺直前の状況、その瞬間の心境、そして直後の体験。生々しく痛ましいですが大切なこと。死直後にスピリットとなったことで彼に伝わってきた家族の悲しみ、とまどい、嘆き、怒り。手にとるようにわかったこと。率直にすべて彼の言葉で書かれています。
その中で印象的だったのは、お葬式で皆がエリック君の思い出話を披露し、「こんなことをしてもらった、感謝している」などと言い合い、会場が愛に溢れて嬉しかった時にエリック君の感じたこと。
ぼくが生きているときは、その手の話を聞いたことがなかったから、なんで、生きている間に話してくれなかったんだ、と思った。そうだろ?ほんとうの気持ちを話すのに、死ぬまでまつべきじゃない。
天国への移行
彼が移行の前に家族に寄り添い、家族一人一人と向き合う様子の詳細な記述は興味深いです。人の感情・思考がスピリットにはどのように伝わってくるのか、そしてそれにどう感じながら向き合ったのか。最後の挨拶に一人づつに寄り添い別れていくときの心境など本当に細かいです。一人づつのエピソードが書かれています。
そして、いよいよ移行。興味深かったのは、よく知られている「人生のふりかえり」。
自分の人生の一部始終が目の前で繰り広げられる様子、その方法についてリアルに実況中継のように綴られています。人生を一度に体験するだけじゃなく、人生に存在したすべての人が、自分の行動や言動に何を感じたか目の当たりにしたのだそう。彼らの喜び、痛み、落胆、ありとあらゆる感情を自分で味合う体験。
人生で起こったことのすべてを自分側と相手側の両側で体感し、出来事の背景もからくりもすべてわかる。そこにどんな意味、レッスンがあったのかもわかる。人生を通して経験したいと願った中で何が果たせて何が果たせなかったのかもすべてわかる。その経験、体感をそのまま。
彼にとって重要だったのは善悪というものを深く理解できたこと。善悪は存在せずそこからどんな教訓を学んだかだけ。あちらでは「善か悪か」というルールに縛られることはなく、自己批判も存在しない。
自己批判が存在しないからこそ、ぼくは自分を許すことができた。
こうも書かれてます。「ぼくはそれまで、自分が許しを求めていたことにさえ気づいていなかったんだ」。この言葉は、何か私にも心に刺さるなぁ。
死後の世界
彼らしい若者の口調で実況中継レポートのように書かれています。エリックくんの言葉を受け取る霊媒は、通信者の言葉をそのまま伝えられるよう訓練された霊媒で、彼の生前の口調のままなのだそうです。
チャネリングの内容を家族が信じるためには生前の口調と同じ必要があり、エリック君のお母さんからの希望もあり、要約して伝えるのではなく、一言一句そのまま伝えられるのだとか。
ちょっと笑ってしまうのが、エリックくんが生前の言葉遣いで汚い言葉を履くと彼女が口ごもるという話。いたずら好きな彼は、彼が使う汚い言葉にジェイミー(霊媒)が身をすくませたり、もじもじするのをみるのがすごく愉快だったのだそう。悪気はなかったと彼は言うけどホントかな(笑)
(原文を読まないと和訳ではわかりませんけどね)
死後の世界については、肉体がない状態のスピリットとしての視力、聴力、触覚等の体感覚、環境、助けてくれるスピリットたちの話、家など必要とするものを自分で作り出せること、動物たち、移動の方法、地上の人の見え方、感情・感覚の伝わり方、スピリット同士のコミュニケーションの方法などなど。多岐にわたって彼が気づいたこと体験したことが書かれていて興味深いです。
あちらでの仕事
彼は実はもともと早逝する予定だった魂のようで、その後の仕事のためにその経験が必要だったようです。そのため自殺した魂のわりに目覚めも早く移行もスムーズで、今では立派なスピリットガイドとして働いていています。
ガイドの方法も書かれています。いろいろ方法があるようですが、彼が得意なのはITを使って人を助けること。例えば自殺を考えている人には、ささやいて誘導し「死」についてネットで検索させる。すると、彼のお母さんが運営している「チャンネリング・エリック」のページがヒットするという具合に。
ブログ「チャンネリング・エリック」(英語サイト)は、「メタフィジックス通信」というサイトで和訳されて紹介されており、私はそれでエリックくんを知りました。
もともとはお母さんが悲しみを癒やすために始めたブログが、今では悲しみを乗り越えるために癒やしが必要な人への力となっているようです。さらに、お母さんがエリックくんに質問し回答を得るという形で読者の質問に答えたりと様々な試みをしているうちに、そのブログはもっと大きな意味をもちはじめ、たくさんの人の気づきとなり、癒やしとなり、知識となり、世界中にファンがいるブログと育っています。
とにかくエリックくんとお母さんのやりとりが面白い。そしてびっくりなゲストも登場する。ゲストというのは霊界側の話ですけどね。私もすっかりエリックくんのファンです。
この本はそんな死後大活躍のエリック君の背景が知れるという意味でもとても興味深い本でした。死後とかそういうことに全く興味ない人でも面白く読める本です。
投稿者プロフィール
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・ヒーリング整体や二胡演奏、アートを通して心と身体の健康を応援します。
・高齢者施設等へのボランティアの訪問演奏承っております。
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